経済産業省:省エネ・非化石転換補助金は2,108億円を要求他

朝夕はようやく過ごしやすくなってまいりましたが、日中はまだ汗ばむ陽気が続いております。皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、8月末に経済産業省・環境省をはじめとする各省庁の令和9年度(2027年度)予算「概算要求」が一斉に公表されました。省エネ・脱炭素関連の補助金がどう変わっていくのか、毎年この時期の一大イベントです。今週は、この概算要求の内容から2本お届けします。

 1.経済産業省:省エネ・非化石転換補助金は2,108億円を要求
 2.環境省:SHIFT事業・再エネ導入促進、そして新設「ペロブスカイト太陽電池」に280億円

いずれも各省庁の「要求」段階であり、年末の予算編成過程で変動する可能性がある点にはご留意いただきつつ、来年度の設備投資・補助金活用の見通しづくりにお役立てください。

目次

経済産業省 省エネ・非化石転換補助金は2,108億円を要求

2026年8月末、経済産業省は令和9年度(2027年度)予算の概算要求を公表しました。
政府の看板政策であるGX(グリーントランスフォーメーション)分野には、GX経済移行債を財源とする「GX推進対策費」として経産省で1兆2,594億円が要求されており、環境省分(2,750億円)と合わせると1兆5,344億円、令和8年度当初予算の2.3倍という過去最大規模の要求となっています。

中小企業の皆様に直結するのが、「省エネルギー・非化石転換の投資促進・社会実装支援事業」(いわゆる省エネ・非化石転換補助金)です。
令和9年度の要求額は2,108億円で、令和8年度当初予算(840億円)からは2.5倍の増額となりました。

一方、令和7年度補正予算を合わせた実質的な予算規模(2,450億円)と比べると、令和9年度はやや小さく見えます。
ただしこの事業は、令和5年度補正から続く「3年間で7,000億円」規模の集中支援計画の最終年度に位置づけられており、規模としては今年度とほぼ同水準の支援が続くとみてよさそうです。なお令和9年度からは事業名に「社会実装支援」が加わり、単なる設備更新支援から一歩進んだ制度への発展が見込まれます。

現行制度(令和7年度補正で強化された内容)は、①工場・事業場型、②電化・脱炭素燃転型、③設備単位型、④エネルギーマネジメント(EMS)型の4類型が基本です。
これに加え、令和7年度補正で次の3点が強化されました。

①新設の「GXⅢ類型」(トップ性能枠・メーカー強化枠)により、従来水準を大きく上回る高効率設備の導入を後押し
②サプライチェーンの上流・下流企業が連携して省エネ計画を作成する「サプライチェーン連携枠」を新設
③水素対応設備への改造・新設も補助対象に追加

令和9年度もこの基本フレームが継続する見通しです。
中小企業にとっては、事業所全体の省エネ計算が不要で使いやすい「設備単位型」(トップ性能枠なら補助率1/2)が、まず検討しやすい入口になりそうです。

概算要求はあくまで各省庁の「要望」の段階です。
過去にはGXサプライチェーン構築支援事業のように、要求792億円に対し当初予算では497億円まで圧縮された例もあります。
今後の財務省査定・年末の予算編成の動向を、引き続き注視してまいります。

環境省 SHIFT事業77億円、新設「ペロブスカイト太陽電池」に280億円

環境省の令和9年度概算要求は総額1兆1,451億円+事項要求。
このうち脱炭素関連施策を中心とするエネルギー対策特別会計は5,151億円で、令和8年度当初予算(2,059億円)の2.5倍という大幅な増額です。
GX推進対策費が561億円から2,750億円へと約5倍に拡大したことが主因です。

中小企業の皆様に関わりの深い「SHIFT事業」(脱炭素技術等による工場・事業場の省CO2化加速事業)は、令和9年度77億円を要求(令和8年度58億円から約1.3倍)。
次の3つのメニューが用意されており、中小企業の利用実績も多い制度です。

①省CO2型システムへの改修支援事業(補助率1/3、上限1億円または5億円)
②最高性能型導入支援事業(補助率1/3、上限1億円)
③データ活用型省CO2運用改善支援事業

また、「民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業」には63億円が要求されています。
オンサイトPPA等による自家消費型太陽光発電と蓄電池をセットで導入する際の支援(ストレージパリティ達成に向けた価格低減促進事業)や、営農地・水面・駐車場・建材一体型など設置場所の特性に応じた太陽光発電の導入促進など、幅広いメニューが用意されています。

今回、特に注目したいのが「ペロブスカイト太陽電池の社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業」です。
令和9年度の要求額は280億円と、令和8年度(70億円)から実に4倍の急拡大となりました。

ペロブスカイト太陽電池は、主原料であるヨウ素で我が国が世界シェアの約30%を占めるなど、日本が優位性を持つ次世代太陽電池です。
軽量・柔軟という特徴から、従来型の太陽電池では設置が難しかった建物の屋根・窓や、耐荷重に制約のあるインフラ空間にも導入が可能で、フィルム型・建材一体型の製品開発が進んでいます。
経済産業省・国土交通省との連携事業として、社会実装の初期段階におけるコスト低減と需要拡大を後押しする内容です。

このほか、GX-ETSで排出量取引の対象となる大企業が、取引先の中小企業と連携して省CO2設備投資を行う「Scope3排出量削減のための企業間連携による省CO2設備投資促進事業」も37億円(令和8年度15億円から2.5倍)に拡大しており、サプライチェーン全体での脱炭素化を後押しする動きが強まっています。

環境省分もあくまで概算要求の段階です。
SHIFT事業やペロブスカイト太陽電池など中小企業にも関係の深い制度については、予算成立後(2027年4月以降の見込み)の公募開始に向けて、引き続き最新情報をお届けしてまいります。

よかったらシェアしてくださいね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
初回無料コンサル
目次