環境表示ガイドラインとCFP表示ガイド完全解説
「環境にやさしい」「CO2削減」——自社のカタログやウェブサイトに、こうした表示を使っていませんか。実はその表示、環境省が令和8年3月に改定した「環境表示ガイドライン」や、2025年2月に策定された「カーボンフットプリント(CFP)表示ガイド」の考え方に沿っていないと、思わぬリスクにつながる可能性があります。本記事では、中堅・中小製造業の経営者・広報担当者に向けて、2つのガイドラインの要点と、今すぐできる自社点検のポイントを解説します。
1. なぜ今「環境表示」に注意が必要なのか
グリーンウォッシュへの監視は世界的に強化されている
欧州委員会が実施した調査では、EU域内で調べられた環境に関する主張のうち53.3%があいまい・誤解を招く・根拠がないものであり、40%は虚偽または欺瞞的である可能性があると報告されています。こうした状況を受け、EUでは2026年に「グリーン移行のために消費者に権限を与える指令」、通称グリーンウォッシング禁止法が施行される予定です。EUに販路を持つ日本企業も対象となるため、他人事ではありません。
日本国内でも、2022年に景品表示法に基づく措置命令の実例があります。こうした国内外の動きを踏まえ、環境省は令和8年3月に「環境表示ガイドライン」を改定し、あわせて2025年2月には「カーボンフットプリント表示ガイド」を環境省・経済産業省が策定しました。中小企業であっても、サプライチェーン上の取引先からESG関連の情報開示を求められる場面が増えており、適切な環境表示への対応は経営課題の一つになりつつあります。

2つのガイドラインの関係
環境表示ガイドラインは、事業者が自らの判断で行う「環境表示(自己宣言による環境主張)」全般の適正なあり方を、国際規格ISO/JIS Q14021をベースに示したものです。一方のCFP表示ガイドは、製品・サービスのライフサイクル全体で排出される温室効果ガス(GHG)の総量である「CFP(カーボンフットプリント)」の表示方法に特化した、より専門的なガイドという位置づけです。CFPを表示する場合は、環境表示ガイドラインの考え方に加えて、CFP表示ガイドの要件も踏まえる必要があります。

2. 環境表示ガイドラインの5つの基本項目
環境表示ガイドラインでは、自己宣言による環境表示に共通して求められる要件として、次の5つの基本項目が示されています。

① あいまいな表現や環境主張は行わない
「環境に安全」「環境にやさしい」「地球にやさしい」「無公害」「グリーン」「自然にやさしい」「持続可能」といった表現は、単独で使用することができません。こうした漠然とした表現は、消費者に根拠のない好印象を与えるおそれがあるためです。

② 環境主張の内容に説明文を付ける
例えば「プラスチック削減に取り組んでいます」という表示だけでは不十分で、「従来品よりボトルのプラスチック重量を5g減らし、再生材料を70%以上配合しました」というように、何を・どの範囲で・どの程度改善したのかを具体的に示す説明文が必要です。
③ 製品のライフサイクル全体を考慮する
一部の工程だけの改善を強調し、他の工程での環境負荷増大(トレードオフ)を見落とさないようにする必要があります。バイオマスプラスチックの使用が食糧との競合や土地改変につながるケースなどが典型例です。
④ 検証データ・評価方法にアクセス可能にする
主張の根拠となる試験成績書やサプライヤー証明などを保管し、検証を求められた場合に合理的な範囲で開示できる体制を整えておく必要があります。
⑤ 比較主張はLCA評価・数値等で適切に行う
自社の従来品や他社製品と比較する場合は、同じ機能単位・同じ測定単位・原則12か月の期間で計算し、百分率と絶対値を混同しないことが求められます。
3. CFP表示ガイドのポイント

CFP表示の5原則
CFP表示ガイドでは、CFPを表示する際の基本原則として、①信頼性・信用性、②ライフサイクル、③比較可能性、④透明性、⑤地域性の5つが示されています。信頼できる算定方法を用いつつ、実務上の負担とのバランス(適応性・実用性・費用対効果)にも配慮するとされている点が特徴です。

CFPとあわせて示すべき情報
CFPの数値(kg-CO2eなど)を表示する際は、単位だけでなく、算定の単位(機能単位・宣言単位)、ライフサイクルステージ、算定報告書へのアクセス方法もあわせて示すことが求められます。表示スペースが限られる場合は、ウェブサイトや二次元コードで詳細情報を確認できるようにする方法も認められています。
比較表示は要注意
CFPの比較ができるのは、同一の算定ルールを用いた製品・サービス同士に限られます。自社の従来品との比較(パフォーマンストラッキング)は比較的行いやすい一方、他社製品との比較は、算定ルールについて3名以上の独立した外部専門家によるレビューが必要になるなど、ハードルが高く設定されています。また「業界で最小のCFP」のように、業界全体の把握が現実的に不可能な主張はNG例として挙げられています。

4. 自社点検のためのチェックリスト
まずは以下の5点を、既存のカタログ・ウェブサイト・広告等で確認してみましょう。
- あいまいな表現(「環境にやさしい」等)を単独で使用していないか
- 環境主張に、根拠・範囲・程度を示す説明文を付けているか
- 主張が製品ライフサイクル全体で見てトレードオフを生んでいないか
- 主張の根拠データを保管し、開示請求に対応できる体制があるか
- CFPを表示している場合、算定単位や算定報告書へのアクセス方法を示しているか
5. よくある質問
Q. 第三者認証(エコマーク等)を取得していれば対象外ですか?
A. 環境表示ガイドラインは主に自己宣言による環境表示を対象としており、第三者認証を用いる場合は別の枠組みになります。ただし、自社独自の環境訴求を並行して行う場合は、その部分は本ガイドラインの対象です。
Q. CFPを算定していない場合、CFP表示ガイドは関係ありませんか?
A. CFPを表示しない場合、CFP表示ガイドの直接適用はありません。ただし、今後の取引先からの要請等を見据え、算定・表示の考え方を把握しておくことは有用です。
Q. 企業のCSR広告やブランド名にも表示ルールは適用されますか?
A. はい。環境表示ガイドラインは、商品の取引に直接関係のない企業姿勢・イメージ広告・ブランド名の表示も対象に含めています。
参考リンク
環境省・経済産業省「カーボンフットプリント表示ガイド(2025年2月)」
まとめ
環境表示ガイドラインとCFP表示ガイドに共通するのは「誤解を招かない」という考え方です。あいまいな表現を避け、根拠となる説明文やデータを整え、ライフサイクル全体を見据えた表示を行うことで、環境への取り組みは取引先や消費者に正しく伝わる強力なPR材料になります。逆に、知らずにあいまいな表示を続けていると、ある日突然リスクに変わりかねません。まずは自社の環境表示を棚卸しすることから始めてみてください。
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ほっとコンサルティングでは、Scope1/2/3のGHG排出量算定から、その結果を根拠にした適正な環境表示への落とし込みまで、「測る→減らす→広げる」の一気通貫で支援しています。
- 既存のカタログ・ウェブサイト等の環境表示の棚卸し診断
- GHG算定データを活用した、根拠のある環境表示(説明文)への改善支援
- 省エネ・GX補助金の採択実績を、適正な形で対外発信するための支援
自社の環境表示を見直したい、CFP表示の対応方法を相談したいという方は、お気軽にお問い合わせください。
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