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SSDGs宣言から脱炭素支援へ

目次

はじめに

 世界的な世界的な地球温暖化による気候変動が加速しているなか、規制強化への対応や自主的な取り組みとして脱炭素経営に取り組む企業が大きく増大している。
 自社内で取り組みが可能な大企業に対し、中小企業は経営資源の制限上脱炭経営への対応が困難であり、その取り組みには支援者が必要である。中小企業の2050年カーボンニュートラルへの取り組みのハブとして、地域金融機関に期待される役割は大きい。
 顧客エンゲージメント強化、CO2算定やCO2削減計画策定支援、補助金活用での設備投資融資など、取引先企業の脱炭素経営促進による地域金融機関のチャンスについて解説する。

引用 株式会社銀行研修社 機関紙「銀行実務2023年11月号」より当社作成記事から一部引用

地域金融機関を取り巻くカーボンニュートラル背景

国際的な気候変動規制と中小企業

 世界的な気候変動対策目標となったパリ協定を皮切りに、世界・日本での脱炭素経営は大幅に加速している。パリ協定とは、気候変動を食い止めるために地球の平均気温を産業革命以前と比べ2~1.5℃に抑える取り組みであり、2016年に発効された。その概要は、年間2.5~4.2%GHG(温室効果ガス)排出量を削減し、2050年までにカーボンニュートラルを達成するというものである。
 パリ協定を企業レベルで実施する取り組みがSBT(科学にもとづく目標設定)である。SBTは環境貢献企業であることをステークホルダーに訴求したい大企業を中心に取り組みが進んでおり、自社排出(Scope1・2)だけではなく、サプライチェーン全ての排出(Scope3)を削減目標範囲とする。そのため、SBT取得大企業は取引先中小企業から購入する製品・サービスのGHG排出量の把握と削減を義務付けられており、大企業の要請による中小企業の脱炭素経営対応圧力が高まっている。
 また、プライム上場企業に対応が義務付けられているTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)においても、SBT同様Scope1・2・3GHG排出量報告と削減が求められている。
 さらに、国際会計基準を策定しているIFRS財団傘下のISSB(国際サステナビリティ基準審議会)が、サステナビリティ情報開示基準を2023年6月26日に公表し、2024年度以降全上場企業に対しScope3も含む脱炭素経営情報開示を義務付けられる見込みである。
 これらのような国際的な気候変動対策取り組みが大企業から中小企業にその範囲を拡大しており、取り組みの早い自動車・電機・建築等の業界から中小企業における脱炭素経営がスタートしている。

図1 中小企業における脱炭素経営圧力の高まり
引用 環境省グリーンバリューチェーンプラットフォーム資料より

日本の脱炭素支援策

 企業の脱炭素を促進するため、補助金等の国の支援策も充実してきた。2023年5月に公布されたGX推進法は10年間で20兆円の政府予算を呼び水に150兆円の官民投資へつなげるもので、令和6年度概算要求でGX関連分野に2兆円が要求され、中小企業等の省エネ設備投資補助金では例年の約10倍となる約2,000億円が予定されている。今年度から3年間で総額5,000億円程度の脱炭素設備導入集中支援が予定され、設備投資総事業費は1兆円を超える。脱炭素促進には大きな設備投資が必要であり、金融機関の役割は大きい。この補助金については後述する。
 また、カーボンニュートラル投資促進税制等の優遇税制も拡充・延長が予定されており、補助金と優遇税制を中小企業が適切に活用していくことの重要性が高まっている。

GXは金融機関のチャンス

 脱炭素経営ニーズの高まりは、企業のニーズを捉えた適切な対応をとることができれば金融機関にとってチャンスとなる。特に中小企業の脱炭素経営取り組みにおける地域金融機関のチャンスは以下のとおりである。
 ただし、通常の銀行業務以外での収益拡大内容を含むため、銀行法に抵触する等の理由で実施できない可能性もあると思われる。その対策について、4.事例で戦略子会社設立での事業領域拡大について紹介する。

顧客エンゲージメントの強化(初期相談者としての役割)

 経営資源に限りのある中小企業が脱炭素経営を推進していくためにまず必要なのは、情報収集である。自社に関係する適切な情報を入手できなければ、計画や投資の判断ができない。脱炭素経営に関する情報発信については国や地方自治体等が行っているが、中小企業が自社に関連する情報を選択してセミナー等の情報収集をおこなう必要があるためハードルが高い。
 中小企業と日常的にコミュニケーションをとる組織には税理士や商工会議所・商工会等もあるが、最終的な実行フェーズが設備投資であるため、投融資をおこなう金融機関が最も支援者として適しているだろう。地域金融機関が脱炭素経営に関する情報を広く浅く提供し、2050年カーボンニュートラルに向けた中小企業における脱炭素経営の土台を築く役割を期待される。中小企業への初期情報提供役割を地域金融機関が担当し、中小企業とのエンゲージメントを高めながら、(2)で解説する専門企業への橋渡し役であるハブとして機能することで収益を上げることができる。
 環境省が整備している金融機関担当者等向けの脱炭素アドバイザー制度は、中小企業における脱炭素経営の相談窓口としての役割を期待するものであり、積極的な資格取得が望ましい。

図2 脱炭素ハブとしての地域金融機関の役割

協力企業とのエコシステム構築

 地域金融機関は中小企業と脱炭素専門企業の橋渡し役のハブとしての機能を果たすことができる。脱炭素経営推進には以下のようなステップがあり、専門企業の支援が必要となる。(左:ステップ、右:専門企業)
① CO2排出量算定(現状把握):CO2算定コンサル
② CO2削減計画策定(目標設定):脱炭素コンサル・エンジ会社
③ 省エネ補助金申請(投資支援):補助金コンサル、リース会社
④ 省エネ設備導入(投資実行):設備業者、リース会社
⑤ SBT取得・CFP算定(攻めの脱炭素経営):脱炭素・CO2算定コンサル
⑥ ホームページリニューアル(外部PR):ホームページ制作会社
 脱炭素経営推進には多くの専門企業との連携が必要になるが、中小企業が自ら企業を選択し実施するのは難しい。地域金融機関が専門企業に代わり初期営業・情報提供をおこない、中小企業に最適な専門企業を紹介するマッチング機能を果たすことができる。地域金融機関が中小企業の脱炭素経営コーディネーター・ハブとしてワンストップでサービスを提供することで顧客満足を得て、設備投資ステップでの資金提供を獲得することができるであろう。

補助金コンサルと融資

 専門企業である補助金コンサルとの橋渡しのみを地域金融機関が担当してもよいが、より積極的な取り組みも可能である。地域金融機関が専門企業に代わり補助金コンサルを実施し、中小企業より報酬を受けとることができる。一般的に補助金コンサルの報酬形態は着手金+成功報酬であり、平均的な相場としては着手金0~30万円、成功報酬は獲得補助金額の10~20%程度である。地域金融機関がノウハウ不足で単独で省エネコンサルを実施できない場合は、書類作成を除いたアドバイザリーのみを専門企業に依頼することもできる。銀行法の規制を受けない戦略子会社設立の事例を4.事例で解説する。
 また、グループのリース会社がある場合、リースを活用した補助金申請は中小企業とリース会社の共同申請となり、実質的にリース会社が申請をおこなう。中小企業の申請負担を大幅に削減することができるため、補助金活用や投資実行の大きな動機付けとなる。私は前職のリース会社において省エネ設備のリース提案等を担当していた。補助金共同申請による中小企業申請負担軽減の効果は大きく、多くの案件成約につながっていた。

脱炭素経営の詳細

 中小企業における脱炭素経営の詳細解説と、地域金融機関が中小企業の脱炭素経営にどのようにかかわることができるかについて解説する。
 脱炭素経営の取り組みには「自社の脱炭素」「脱炭素な経営」「外部へのPR」の3つのフェーズがある。

図3 脱炭素経営の取り組みフロー

自社の脱炭素

 脱炭素経営の基本は、自社のCO2排出量を算定し、策定した削減計画に基づき脱炭素設備投資していくことである。自社の脱炭素に取り組むことにより、大企業からの脱炭素要請に対応、光熱費の削減、気候変動への貢献等の効果を生み、環境貢献企業へシフトしていく取り組みである。

① CO2排出量算定(現状把握)

 脱炭素経営は脱炭素を目指す取り組みのため、まずは現状のCO2排出量を把握する必要がある。CO2算定には以下の3つのScopeがある。
 ・Scope1:自社で使用する燃料等の燃焼に伴う排出
 ・Scope2:自社で使用する電力等の使用に伴う排出
 ・Scope3:Scope1・2を除く自社のサプライチェーン内での排出
 中小企業におけるCO2算定は、まずはScope1・2である。Scope1・2算定については、電力会社やガス会社からの使用明細表に記載されている数値、ガスであればNm3、電力であればkWh等の使用量(活動量)とCO2排出係数の積で算定する。厳密には、この他に社有車のガソリンやエアコン等で使用するフロンガス漏洩量等も算定に含まれる。しかしながら、燃料や電力の購入量を管理できていない中小企業も多い。
 将来的にCFP(カーボンフットプリント)やSBT取得を予定している中小企業は、Scope3の算定も必要となる。Scope3は15のカテゴリーで構成されており、活動量(購入金額や重量)とCO2排出原単位の積でCO2排出量を算定する。
 CO2算定の支援者としては、CO2算定クラウドサービスを手掛ける企業や、脱炭素経営コンサル等があり、一部の地域金融機関も支援を行っている。Scope1・2の算定の難易度は低く、算定期間は1か月程度、Scope3の算定は難易度が高く3~6か月程度必要となる。
 地域金融機関がCO2算定支援に取り組む際のチャンスについて考える。簡単なヒアリングシート等でエネルギー使用量を把握し、概算のScope1・2を算定するのは可能である。概算である理由は、エアコン等のフロンガス漏洩量の算定や生産プロセスでの排出等、ヒアリングシートでは情報を取りづらい項目があるためである。Scope3の算定については難易度や算定業務負担が大きいため、地域金融機関のみで実施することは難しいと思われ、連携するCO2算定クラウドサービスを手掛ける企業等に紹介することが現実的である。例えばCO2算定クラウドサービス企業である㈱ゼロボードはパートナー制度を構築しており、金融機関も参加している。CO2算定を行いたい中小企業を地域金融機関がゼロボードに紹介し、サービス成約後にゼロボードが紹介手数料を支払うスキームである。

② CO2削減計画策定(目標設定)

 CO2削減計画(CO2削減ロードマップ)は、基準年に対し目標年(例、2030年)までにどのような対策でどの程度のCO2を削減していくかを定める計画である。
大企業はScope3の削減が義務付けられているため、製品・サービスの購入先である中小企業に対するCO2削減要求が強まっている。CO2削減計画を策定することで、取引先である大企業に対し自社の脱炭素に関する取り組みの方向性を開示することが可能となる。
 CO2削減計画の策定は、省エネ診断によりCO2削減ポテンシャルを把握していく。企業規模にもよるが、半日程度のウォークスルー調査により、省エネ・再エネ・電化・燃転等のメニューを探し、省エネ計算により取り組みの効果を定量的に評価する。評価項目は一般的に、CO2削減量(トン)・エネルギー削減量(kL)・コストメリット(円)で算出し、併せて概算での導入金額を算出することで費用対効果も検討する。省エネ診断では、費用の掛からない運用改善と設備投資で区別し、費用対効果の高いメニューや着手しやすいメニューから実施する計画とする。削減計画策定の期間は現地診断から計画書策定まで2か月程度である。
 地域金融機関がCO2削減計画策定支援に取り組む際のチャンスについて考える。計画策定にあたって実施する省エネ診断は省エネ技術スキルが必要であり、中小企業自ら実施することは難しい。また、中小企業が自ら積極的に省エネ検討を行っている企業の場合であっても、省エネ技術進展が早いため、太陽光発電等の再エネ導入・ヒートポンプ等の電化・天然ガスやバイオマス等への燃転等の最新メニューの検討は難しい。そのため、脱炭素コンサル・エンジ会社による診断や公的省エネ機関による診断を行うことが一般的である。地域金融機関は削減計画策定後の設備投資時の資金供給に関与できるように、削減計画策定には関与しておくべきである。そのためには、連携する削減計画策定支援企業を紹介し、共同で計画を策定していくスタンスが重要であろう。

図4 CO2削減計画(削減ロードマップ)

③ CO2削減実行(設備投資)

 CO2削減の実行は設備投資を伴うので金融機関の資金提供役割が重要である。中小企業の経済的負担を軽減するために後述する補助金や優遇税制の活用を検討したい。前述の補助金コンサル等によるエンゲージメント強化により確実に融資につなげていきたい。

脱炭素な経営

 世界の脱炭素の流れに対応するため、「自社の脱炭素」は早かれ遅かれ中小企業は実施せざるを得ず、対応できない企業は残念ながら淘汰されていく。そのため「自社の脱炭素」は「守りの脱炭素」と言え、実施により業績の維持が可能である。一方で「脱炭素な経営」は脱炭素への取り組みを経営レベルで実行し、業績の拡大に積極的につなげていくものであることから「攻めの脱炭素」と言える。

① CFP算定(大企業からの要請対応)

 上場大企業はSBTやTCFDのルールとしてサプライチェーン全体でのGHG削減が義務付けられている。サプライチェーン(Scope3)のGHG削減をおこなうためには、CO2算定において一般的なCO2排出原単位データベース値(二次データ)では実現できず、取引企業の実績値(一次データ)が必要となる。
また、自動車や電機、食品のようなB to C大企業は、自社製品・サービスの環境訴求の手法としてCFPを算定して公表する事例が増えている。
 これらの大企業のScope3削減ニーズに応えるためには、中小企業もCFP(一次データ)算定が必要となってきている。中小企業がCFP算定を行うことは、大企業のScope3削減ニーズを満たすため競合企業に対する差別化となり、受注量拡大や販売単価アップが可能となる。大企業を顧客とするB to B中小企業のCFP算定は、単体の製品・サービスにおける原材料購入から輸送・生産まで(Cradle to Gate)のGHG排出量の合計である。
 地域金融機関がCFP算定支援に取り組む際のチャンスについて考える。CFP算定はCO2算定以上の難易度となり、中小企業自身で実施することは不可能である。また、Scope3の算定同様、地域金融機関のみで実施することは難しいと思われ、連携する専門企業等に紹介することが現実的である。CFP算定を行いたい中小企業を地域金融機関が専門企業に紹介し、サービス成約後に専門企業が紹介手数料を支払うスキームが有効である。

図5 CFPの算定範囲
引用 経済産業省、環境省 カーボンフットプリントガイドライン

② SBT認証(外部へのコミット)

 SBTを取得することはステークスホルダーに対し、環境貢献企業であることを分かりやすくアピールする効果がある。大企業向けの通常版SBTとは別に中小企業版SBT制度があり、通常版に比べ申請負担や所得要件が緩和されている。中小企業版SBTは、CO2算定や削減計画等の事前準備ができていればSBTi(事務局)のサイトより比較的容易に電子申請することができ、準備から申請・取得まで2か月程度で実施が可能である。
 地域金融機関がSBT取得支援に取り組む際のチャンスについて考える。中小企業版SBTの申請はCO2算定等の事前準備ができていれば比較的難易度は低く、地域金融機関でも支援は可能であると思われる。中小企業版SBTを取得するとSBTiのサイトや環境省のサイト・資料で社名が公表され、SBTのロゴを使用してホームページや名刺でPRすることができるため、中小企業及び地域金融機関ともに外部へのPR効果が期待できる。また、SBT取得は環境貢献企業として持続可能な企業として認知されるため、金融機関の融資与信拡大やESG投融資、サステナブルリンクローン等の対象企業になるのではないだろうか。

図6 通常版SBTと中小企業版SBTの違い
引用 環境省グリーンバリューチェーンプラットフォーム資料

③ 脱炭素経営計画策定

 中小企業の脱炭素経営には2つの活動側面がある。まず取り組むべきは、取引先大企業からの脱炭素要請に対応することでの業績維持(自社の脱炭素)を目指すことであり、続いて、気候変動が進んだ世界における経営環境下で、自社を持続可能な会社にすることである。脱炭素経営計画は、気候変動が進んだ世界が自社にとってチャンスになるのかリスクになるのかを分析し、環境貢献製品の開発・販売等の適切な対応を経営計画に落としこむものである。TCFDに参加する大企業はTCFD提言に従った同内容の経営計画を策定し外部に開示することで、持続可能な企業であることを、特に投資家向けにアピールしている。
 例えば、ガソリン自動車用エンジン部品を製造している中小企業の場合、気候変動が進むと脱炭素の流れの中で電気自動車にシフトするため、自社製品が売れなくなる。そのため事業を再構築し、電気自動車用の部品製造やその他の脱炭素製品用部品製造にシフトする計画を策定する。また、気候変動を抑えるために政府がエネルギー使用に炭素税を課すため、経済的負担の軽減のため自社の脱炭素化を推進する計画が必要となる。
 
 脱炭素経営計画は中小企業の中長期の方向性を決定するものであり、設備投資計画と密接に関連するため、地域金融機関が積極的に計画策定支援をすべき領域であろう。

図7 脱炭素経営計画における事業インパクト評価

外部へのPR

 「自社の脱炭素」や「脱炭素な経営」は社内的な取り組みであり、その効果は現状の取引先への効果に留まる。中小企業が脱炭素経営を促進していくためには更なる動機づけが必要であり、そのために必要な取り組みが外部へのPRである。
 中小企業におけるCO2算定・CFP算定・SBT取得等は、取引先にそれらを必要としている大企業にとっては、垂涎の的である。中小企業における脱炭素経営の最終的な取り組みは、取り組みを既存顧客以外の企業にも広く伝え、新規顧客を開発することである。さらに、効果的な外部PRをおこなうことで、顧客に環境企業との印象を与えブランド化を推進することができる。
 その手法としては、環境訴求型ホームページへのリニューアル・ブログ配信、業界誌等への記事投稿・広告、メールマガジン・動画配信、展示会やセミナーでの出展・講演等がある。効果がすぐ出る奇策は無いため地道な情報発信が必要になるが、特にホームページやブログ・メルマガ等のデジタルPRはインターネット上に永久に残る財産になるため積極的な活動が望ましい。

中小企業脱炭素経営支援の事例

 地域金融機関の脱炭素を切り口にした新しいビジネスを検討するにあたり、当社が実施している脱炭素経営支援における実例を紹介するので参考にしていただければ嬉しく思う。

省エネ補助金コンサルから設備投資融資へ

 某地方銀行系コンサル会社からの依頼で、今年度の経済産業省省エネ補助金への申請支援を実施させていただいた事例を紹介する。
 某食品企業が導入検討している総事業費45億円の生産設備ライン計画について、某地方銀行グループは融資と補助金申請支援を包括的に実施した。某地方銀行子会社のコンサル会社は省エネ補助金支援に不慣れだったために、特に省エネ技術部分の支援を当社に依頼いただき、二次公募に申請、無事採択された。獲得補助金額は20億円であり、融資についても某地方銀行が獲得、グループとして最大の効果を上げた。
 省エネ補助金は省エネ計算や設備仕様等の技術的なスキルが必要であり、文系支援者では対応が難しい面がある。当社のような省エネ技術を得意としている企業と連携することで、省エネ補助金に不慣れな人的資源でも補助金申請支援ビジネスに取り組むことが可能である。

公的機関と大手メーカー連携での中小企業支援

 公的機関が某大手電機メーカーと連携しながら、サプライヤー中小企業の脱炭素経営を支援している事例を紹介する。
 上場大企業はサプライチェーンでのGHG算定・削減義務があるため、サプライヤー中小企業にGHG算定等の脱炭素経営促進を求めている。しかし、中小企業が自社のみで脱炭素経営を推進していくことは困難であり、一方で上場大企業が自社の人的資源を消費してサプライヤー中小企業を支援することも難しい。
そのような背景の中、某大手電機メーカーは公的機関と連携し、サプライヤー中小企業の脱炭素経営支援を実施している。具体的には、サプライヤー中小企業向けの合同セミナーを開催し、脱炭素経営の基礎知識を提供することで脱炭素経営環境の醸成を図り、短期間の無料支援で概算のCO2算定やCO2削減計画の策定支援を行っている。また、詳細なCO2算定、CO2削減計画策定、CFP算定、中小企業版SBT申請等の支援については、一部有料の長期間支援をおこなう予定である。
 この事例の公的機関の役割を地域金融機関が担うことはできないであろうか。地域金融機関の顧客である大企業・中堅企業と連携し、顧客企業のサプライヤー中小企業に対し脱炭素経営の支援を提供する。金融機関に支援スキルが不足している場合は、他社の部分的な支援を受けることで対応する。私は中小企業支援役割をもつ公的機関の脱炭素アドバイザーとしての業務も行っており、地域金融機関への部分的支援も対応可能である。

戦略子会社設立での事業領域拡大

 銀行法等に規制を受けない戦略子会社を設立し、コンサル等の支援を実施している事例を紹介する。
 金融機関は銀行法等に規制を受けるために、中小企業への各種脱炭素経営支援ができないと思われる。私の前職企業である大手リース株式会社はリース業法の規制を受けるため、コンサル等のリース以外の事業ができない課題解決に対し、戦略子会社を設立した。私は大手リース会社と戦略子会社の兼任社員として戦略子会社の業務を中心に、最終的には戦略子会社の社員として、補助金申請支援やエネルギーサービス等の業務をおこなっていた。戦略子会社は事業会社として独立採算を目指し、収益性の高い事業を選択し実施していた。大手リース会社社員や親会社である銀行社員と同行し、企業廻りやサービス提案・提供をおこなった。
 この事例を参考に、地域金融機関が戦略子会社を設立し、中小企業の脱炭素経営支援を行うことはできないであろうか。コンサルサービス等で収益を上げることが可能となり、また顧客企業とのエンゲージメントを強化しながら設備投資の融資につなげることができると思われる。

省エネ補助金の紹介

 脱炭素経営を推進する際には大きな設備投資が必要となり、補助金の活用が重要となる。今年度から3年間は政府のGX関連の大型予算が中小企業向け設備投資に充てられており、例年にない設備投資チャンスを迎えている。
 経済産業省の省エネルギー投資促進支援事業は4つの事業形態で中小企業等の設備投資をきめ細かく支援している。今年度から3年間で合計約5,000億円規模の予算投入が決定されており、来年度の概算要求額は1,925億円となっている。非常に大きな予算額のため今年度は現在四次公募中(11/2締め切り)で残予算は約50%である。採択率は70~90%と非常に高く、補助率は1/3~2/3、補助金額上限は1~40億円と非常に充実した補助となっている。当社の動画サイトで詳細を紹介しているので参考にしていただきたい。
YouTube動画 URL⇒ https://www.youtube.com/watch?v=B_b4QN0Y4bw

自社サービスの紹介

 当社は脱炭素経営支援、省エネ設備導入支援、補助金申請支援等、脱炭素に関する取り組みをワンストップで提供し、主に製造業の中小企業に寄り添う伴走型支援を得意としている。3つのパッケージサービスをご紹介する。

ミニマム★CO2プランナー

 大企業からの脱炭素要請に「安く・早く・簡単に」対応するサービス。CO2排出量算定(Scope1・2・3)とCO2削減ロードマップをWEB会議システム中心に支援する。スタンダードコースは隔週実施4か月間で、大企業の脱炭素要請に対応することができる。

最強★省エネ補助金プログラム

 省エネ補助金の事前準備を行うことで、審査加点による確実な採択と優遇税制を狙うサービス。経営革新等支援機関として経営力向上計画の策定および公的省エネ診断の支援をおこなう。

電化・廃熱回収ポテンシャル診断

 ヒートポンプ・熱交換器による熱の脱炭素を診断するサービス。多くの導入実績を誇る当社専門家による現地診断により、設備導入可能性について定量的な報告書を提供する。その他の省エネ設備や再エネ設備の診断も対応可能。

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