「産業ヒートポンプ」 どのように導入する?設計のポイント
正しくつかうことで大きなCO2削減効果が得られるヒートポンプ。改正省エネ法でも再注目のヒートポンプですが、正しいエンジニアリングを行わないと十分な効果が得られない場合があります。
ヒートポンプを導入検討する際のポイントについて、分かりやすくまとめました。
ヒートポンプの特徴
廃熱に、最低限の熱(温度)を加え、熱の再利用が可能です! 例えば、70℃のお湯使用で排水が50℃の場合、ヒートポンプで+20℃するだけで、再度70℃のお湯として再利用することができます。
ヒートポンプが得意な領域で運転する3つのポイント
①温度差が小さいか 加熱先と廃熱源の温度差が小さいほうが効率が高くなります。例えば、0℃のブライン水(熱源)から90℃のお湯を作る場合と、30℃の排水(熱源)から60℃のお湯を作る場合では、後者の方が効率が良くなります。
②距離が近いか 加熱先と廃熱源が近いと、配管等の工事量ロスや熱ロスが少なくり、またポンプ等の熱搬送動力エネルギーが少なるので効果的です。
③熱量と熱バランスが整合しているか ヒートポンプは加熱先への熱供給と廃熱源からの熱回収を同時におこなう必要があります。季節や稼働条件でアンバランスが発生しないように計画が必要です。場合によっては、複数の加熱先と廃熱源を組み合わせる必要もあります。
自分の廃熱か?他人の廃熱か?
「自己廃熱の利用」は、自らの熱使用後の廃熱を回収し再度自らの熱として利用するものです。熱使用と廃熱の発生タイミングが一致するので、利用が容易である一面、少ない運転時間の場合は効果が少なくなる等のデメリットもあります。
一方で、「機器冷却廃熱の利用」は自ら以外の廃熱を回収して熱利用するものです。廃熱回収の自由度が増すので効果が大きくなる可能性がある一方、システム建築コストが大きくなるデメリットがあります。
負荷と熱源の変動を把握し、バランスを取る
季節や稼働での加熱先と廃熱源のバランスをとることが重要です。各季節で安定発生するベース負荷部分をヒートポンプで担当させることが効果的です。
ハイブリッド方式(HP+既存熱源)がベスト!
ヒートポンプと既存の蒸気ボイラー等を上手く使うと効果的です。直列式と並列式があります。
ハイブリッド方式のメリット
ハイブリッド方式にすることで、負荷変動吸収やCOP向上、トラブル時のバックアップ等のメリットがあります。
最適な機器の選定
ヒートポンプは供給形態(温水・熱風)と熱源(水・空気)で区別できます。
方式別ヒートポンプラインナップ
・空気熱源ヒートポンプの各メーカーラインナップ
・水熱源ヒートポンプの各メーカーラインナップ
温度・能力により、各社から多様なヒートポンプが販売されています。