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廃熱回収省エネセミナー3 エネルギーごとの検討(蒸気・燃焼・電気)

工場の廃熱回収省エネセミナー3回目は、エネルギー種類ごとの廃熱回収省エネ検討についてです。

工場で使用する加熱エネルギー種類ごとに検討しましょう。

  1. 蒸気
  2. 燃料の直接燃焼
  3. 電気
目次

1.蒸気の廃熱回収省エネ検討

蒸気は工場の加熱方法としては多く使用されます。ボイラーが比較的安価で、蒸気の蒸発潜熱を加熱に使用できるため安価な小口径の配管で各所に供給できます。また、蒸気が圧力によって温度が決まるという性質が加熱品質に大きく貢献しています。

一方で、放熱ロス等によりエネルギー効率が悪く(70~50%程度)、油やガスを使用するためCO2発生量が多いため、経済性の追求のために環境性を犠牲にしている加熱方法と言えます。

ボイラー廻りの廃熱回収としては、ボイラー給水の加熱が有効です。蒸気ドレン回収率が高く給水タンク温度が既に60℃程度ある場合は不可能です。

加熱する方法は3種類あります。

一つ目は、ボイラーの定率ブロー水との熱交換です。ボイラーは蒸発による不純物濃度の上昇を抑えるために一定の割合(水質によるが10%前後)でボイラー内のお湯を排出します。この排出された100℃近くのお湯から熱交換器で熱回収してボイラー給水を加熱します。

注意事項は、ブロー水は不純物が濃縮したお湯ですのでカルキ分が析出しやすく、熱交換器や配管に付着することで熱交換効率を低下させる可能性があります。

二つ目は、ボイラー排ガスからの廃熱回収です。排ガスは100℃近くの温度を持っているので、熱交換器での廃熱回収が可能です。しかし、排ガスから廃熱回収する際に排ガスの露点温度以下になる事で結露が発生し、排ガス中の成分と結合し酸性のドレン水が発生するため、中和装置等の水処理設備が必要になります。

三つめは、廃熱回収ヒートポンプです。工場内の低温廃熱源(排水、排ガス、冷却水、冷水等、30℃前後の廃熱で可能)から廃熱回収し、ヒートポンプで50~90℃程度までボイラー給水を加熱します。注意事項として、ヒートポンプの冷媒のコンタミネーション防止のために、熱交換器を介して加熱を行う必要があります。入手しやすい30℃程度の低温排熱があれば適用できるため導入しやすいのが特徴ですが電力を消費しますので、投資対効果で導入を判断します。

2.燃料直接燃焼の廃熱回収省エネ検討

ガスバーナー等で燃料を直接燃焼して製品を加熱する方法です。炉や熱風発生装置、給湯器が該当します。加熱対象の周辺熱媒(空気や水)を加熱し、間接的に加熱対象を加熱します。生産機近くで燃焼すれば、放熱ロス等が少なくなりエネルギー効率は高くなります。しかし、燃料配管・燃焼装置を生産機直近まで持っていくため、火災や爆発等のリスクがあります。

炉の廃熱回収としては、蓄熱材を搭載したリジェネレーティブバーナーがあります。燃焼排気ガスの廃熱を蓄熱材に吸収し、燃焼用供給空気に放熱することで、炉外に報酬する熱を抑え省エネ化が図れます。

熱風発生装置の廃熱回収としては、廃熱回収ヒートポンプが有効です。工場内の低温廃熱源(排水、排ガス、冷却水、冷水等、30℃前後の廃熱で可能)から廃熱回収し、ヒートポンプで熱風発生装置の入口空気を加熱します。

熱風を直接製造するヒートポンプか、温水製造ヒートポンプと水-ガス熱交換器で熱風を作る方法があります。

ヒートポンプ以外の方法としては、ヒートパイプ熱交換機やガス-ガス熱交換器でおこなう方法もありますが、既存の給気ダクトと排気ダクトが近くにレイアウトされている必要があり、既設工場では設置場所の確保が課題になります。

3.電気の廃熱回収省エネ検討

電気での加熱には電気ヒーター等を用いています。省スペース・低イニシャルコストなので、小規模な加熱箇所には適していますが、加熱能力あたりのランニングコストが高くなります。

一方で、エコキュート等の各種ヒートポンプ製品が開発されており、年々高性能化・低価格化が進んでいます。

使用するエネルギーが電気のみですので、電源が太陽光発電等の再生可能エネルギーの場合、CO2排出はゼロとなり、脱炭素化に適した加熱方法と言えます。

電気ヒーターで加熱している場合、電気抵抗の高い材料に通電して発熱するため、消費電力がそのまま加熱能力になります。つまりエネルギー効率は1です。一方で同じ電気を使うヒートパイプの場合、消費電力の3倍以上の加熱能力を得られるため、エネルギー効率3以上となります。つまり、電気ヒーター加熱をヒートポンプ加熱に変更すれば、消費電力が1/3以下になります。工場内の低温廃熱源(排水、排ガス、冷却水、冷水等、30℃前後の廃熱で可能)で廃熱回収ヒートポンプを運転し、電気ヒーターと入れ替えることが有効です。

工場ではいろいろな種類のエネルギーで熱を使用していますが、それぞれの種類や用途に応じた廃熱回収省エネの方法があります。

言い方を変えれば、それだけ多種多様な廃熱回収省エネ方法がるため、検討の難易度が高くなってしまうのです。

詳細な検討については、専門業者や省エネコンサルタントに依頼することが早道かもしれません。

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